石油・ガス田におけるフレアリング(燃焼)とベント(放出)の対策を目的とした画期的な技術が、AES Engineering Ltd.(英国、以下AESSEAL®)とTorishima Service Solutions Europe Ltd.(英国、以下TSSE)の提携により実現しました。
ガスコンプレッサでは、有害ガスが大量に漏出するのを防ぐために、ドライガスシールと呼ばれるメカニカルシールが使用されています。しかしながら、一部のガスは大気中に放出されています。これらの放出量はわずかなように見えますが、一般的なコンプレッサでは年間6,327トン以上のCO2e(二酸化炭素換算)が放出されることもあります。
CO2とメタンはどちらも、地球の大気中に熱を閉じ込め、地球の温度を上昇させるため、気候変動の主な要因となっています。特にメタンは、CO2の28倍の熱を閉じ込める特性があり、石油やガスの採掘・生産時に、フレアリングやベントによって大量に放出されます。
EcoGuard™ は、3つの主要な用途(ゼロエミッションシール、放出ガスの回収や削減)を提供します。本製品は、ドライガスシール技術を使用するガスコンプレッサの駆動系からのガスを除去する、シンプルかつ効果的な方法として開発されました。既存機器への後付けも、新しいシステムへの設置も容易に行うことができます。
EcoGuard™ システムは、通常であればフレアリング処理されるガスを回収し、コンプレッサへの再注入用に昇圧します。これにより、燃料ガスとして再利用することができ、大気への放出を防ぐことができます。
このシステムにより、高圧のクリーンなガスが常にコンプレッサ内に留まり、ガスシールが清潔に保たれ、ベントが不要になります。 また、一体型ベアリング、磁気カップリング、特許取得済みの駆動系冷却技術といった先進的な設計が採用されており、有害なガスが大気中に漏れることなく、5年間の連続運転が可能です。
また、コンプレッサの通常運転時には、ガスが排出口から取り出され、調整された後、シールを保護するために高圧で供給されます。しかし、メンテナンスや待機中には圧力低下によりガスの供給が中断され、シールが損傷や故障のリスクにさらされる可能性があります。EcoGuard™ は既存のガスシールとシームレスに連携し、シールを保護します。
North Sea Transition Authorityによると、フレアリングは、英国の海上での石油・ガス生産によるCO2排出量の5分の1、英国の年間CO2総排出量の1%に相当します。海上プラットフォームからの放出ガスは、英国の温室効果ガス総排出量の約0.15%を占め、メタンガス総排出量の約1%を含みます。
スコットランドでは、英国の石油とガスのほぼ90%が生産されており、2019年には10億m³以上のガスがフレアリングされ、CO2換算総排出量の20%以上にあたる290万トンが放出されました。
AESSEAL®の創設者でありグループ最高経営責任者であるクリス・リー氏は、フレアリングが環境と経済の両面で無駄であることを強調しています。「
「私は、子どもたちのための地球を破壊しているといっても過言ではない、この産業規模のガスバーナーを止めたいのです。ガスコンプレッサの1回のベントまたはブローダウンで、主にメタンからなる温室効果ガス約424m³が大気中に放出されると推定されます。 ピーク負荷用のコンプレッサは、1年に最大40回も停止と再起動を繰り返すため、この問題に対するソリューションは急務です。」
EcoGuard™システムはAESSEAL®とTSSEの共同プロジェクトであり、部品はAESSEAL®(英国ロザラム及びグラスゴー)で製造され、最終組み立てと試験はTSSE(英国グラスゴー)で行われます。また、このプロジェクトは、環境改善を主目的としたプロジェクトに2029年までに2900万ポンドを投資するという「AESSEAL 29by29誓約」に沿ったものです。
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